平成15年度第1回、第2回授業公開

宮澤 正明

 本号は、池田清彦教官、岩永正史教官による2つの授業公開の特集です。両教官による個性溢れる授業を、担当教官ご自身と参観者とが詳細に報告しておりますので、是非参考にしていただきたいと思います。

 さて、2つの授業に参加した方々からはいずれも有意義であったとの意見をいただきました。参加者数が少なかったのは残念でしたが、その一方で、何人かの方々から「参観したかったのだが、自分の授業と重なっていたので行けなくて残念」とお聞きし、FDや授業公開に対して理解と関心を寄せていただいていることを確認させていただきました。

 授業公開の日程の組み方については、昨年から本WGの検討課題としてあがっておりますので、今後、適切な対策を講じたいと考えております。他大学の実情をみても、「授業公開日が通常の授業時間帯に実施されるので参加したくても参加できない。授業時間帯をはずして実施したらどうか」、また「授業公開期間として長期にわたって公開し続ければ、いずれかの授業に参観できるのではないか」など、授業公開の日程に関してはいずれも苦慮しており、FDの共通する切実な課題であることがわかります。

 とはいえ、授業公開とそれに伴う授業開発のためのミーティングは、FD活動の中核をなすものだけに、今後さらに検討し工夫しなくてはなりません。

FD授業公開を終えて

池田 清彦

 大友さんから公開授業をするように頼まれて二つ返事で引き受けてみたものの、今さら他人様に披露する程立派な授業ができるわけではない。それに講義をするのも実は余り好きではない。どうしようと思案しているうちに当日が来てしまった。参考書二冊とチョークを持って教室に出向いた。参考書は気休めのために持っていくだけでまず見ないのであるが、今回も一度も開かなかった。教卓の飾りである。最近は書くのもめんどうになって板書も余りしない。要するにただ喋るだけだ。一時間の漫談みたいなものである。お客様は居眠りしている人が一割、つまんなさそうに聞いている人が6割、面白そうに聞いている人が3割といった所か。講義の最中に私語する人は、その場でお引き取り頂いているのでいない。眠けをさますためになるべく面白い話題を混じえて喋っているつもりだが、私だけが笑っていることも間々あり、すべてのお客様に満足して頂けたためしはない。漫談のプロとしては多分失格なのであろう。

2003年6月13日の金曜日に記す。




公開授業の聴講対象を広げては?

幼児教育講座  山田 英美

 その日は朝から学生の教育実習校に行っていて、駆けつけましたが少し遅れて入室し失礼しました。『多様性生物論』といういかめしい科目名の授業を、あの池清節でどのように進められるのか非常に興味があり、万障繰り合わせて予定に入れていたというわけです。

 先生の講義は、学生に対して答えは要求しない“問いかけ”の形を始終とりながら、次々に具体的な歴史的エピソードなどを披露され、それらを通してその“学問的面白さ”が脳細胞にしみ込み気持ちまで活性化させるような展開でした。門外漢の立場では、末広亭あたりの真打の話を気楽にきいていながら実に面白いという満足感を得るのに似ていましたが…。

 学生の様子を見ていますと、その人のある程度の学問的な構えや関心の高さをあらわすのでしょうかしきりに頷きながら熱心に聴いている人たちもいるのですが、机に突っ伏して見事に終りまで気持ちよさそうに眠っている者もいて勿体ないなと思うとともに、せっかくの公開に一般の教官の参加が少ないのにもちょっと驚きました。

 そこでFDWGに提案ですが、本学の非常勤講師や県内の他大学教職員にも広げて授業公開をPRしていただくというのはどうでしょうか? また担当の先生には負担かもしれませんが、1回きりのチャンスでは都合がつけられないこともあるので、できればお一人2回くらいの公開日を設定していただければありがたいと思った次第です。

 FDワーキンググループ主催の第2回授業研修会が、6月13日(金)II時限(10:30〜12:00)にK-229号室にて開催された。国語科教育講座の岩永正史先生による「初等国語科教育学」の授業である。今回の授業のテーマは、生徒の正確な読解力を育成するための説明的・論理的文章を扱う指導である。小学校2年、国語の教科書の一単元「たんぽぽのちえ」には、生徒が説明文を理解する上で問題が含まれているという。教科書のコピー資料をもとに、その問題箇所と指導方法をグループになって学生に考えさせる。1時間の授業に相応しい資料探しが重要だという岩永先生のことば通り、教師の考えを一方的に教え込むのではなく、1つの具体的な資料を使って、教材分析の本質についての深く掘り下げた思考を学生に要求している点がこの授業の大きな特徴である。資料選択だけではなく、資料提示の絶妙なタイミング、教師からの具体的な問いかけ、友達との議論と共有の場など、授業中の岩永先生の学生への働きかけも多くの点で優れていた。学生の考えをグループごとに発表させ、出てきた学生の考えをもとに、岩永先生の解釈を織り交ぜ説明していく。授業の最後には、岩永先生が参考にした文献を学生に紹介し、さらなる学びを促すことも忘れていない。さまざまな点において緻密に工夫がなされ、学生の知的欲求を十分に満たす授業構成であり、授業の本質とは何かを考えるヒントが多く得られる授業内容であった。

(T)



学生の教科観を揺さぶる授業をめざす

岩永 正史

 授業は変わりにくい。小中高校と長年に渡って受けてきた授業によって、強固な教科観ができていて、自分が授業者の立場になったときにもそれをくり返してしまうからだ。だから学生には、そんな自分の教科観に気づかせ、検討のきっかけをつくることが必要だ。

 そこで、初等国語科教育学では、毎回、具体的な教材や授業の中で起こる問題を切り口に国語科の内容や方法を考える。

 公開した授業では、2年生の説明文「たんぽぽのちえ」をとりあげた。発問・応答の上では学習指導要領のねらいが達成されているようでも、子どもたちが頭に描いたタンポポの変化は一様でないこと(実際、受講者や参観者の描いたそれも一様でなかった)を示し、「説明文を正確に読むこと」を考えた。説明文の学習というと、指示語の内容や段落関係を考えるといった、味も素気もない学習を想像するのではないかと思うが、そうではない。説明文だって生々しいイメージを描くことが重要だ。しかも、それが教材の表現に基づく正確なものでなければならない。公開した授業では、そのために、挿絵や図も含めて、教材を一つのメディアとして読みとっていくことの重要性が理解できたのではないかと思う。

 半期の授業を通して、学生が「小学校の教材だからって、なめたらいかんぞ〜」と言語表現を鋭い目で見るようになることを願っている。

講義終了後のミーティング風景

平成15年度の活動経過報告(前期)と計画

 FD推進ワーキンググループは、本年度4月からこれまで(1)〜(5)の活動を行い、7月以降は(6)〜(9)の活動を予定しております。
 (1)5月28日(水) 初任者懇談会
 (2)6月 4日(水) FD INVITATION 第5号発行
 (3)6月10日(火) 池田清彦教官による授業公開及びミーティング
 (4)6月13日(金) 岩永正史教官による授業公開及びミーティング
 (5)6月25日(水) FD INVITATION 第6号発行(本号)
 (6)7月下旬     「FDの活動に関するアンケート(仮題)」実施予定
 (7)9月下旬     FD INVITATION 第7号発行(アンケート集計報告)予定
 (8)10月以降    授業公開及びミーティング(2〜3件)予定
 (9)  同      FD INVITATION 第8号発行(授業公開報告等)予定

 本FDWGは昨年4月から「身近なところでわずかな努力で改善できることは何か」を合い言葉に、授業公開を快く引き受けていただいた先生方の協力に支えられながらささやかに地道に活動してきました。以来1年半を経過しますので、このあたりで、学部構成員の方々からFD活動とFDWGへのご意見をうかがいたいと考えます。本年度前期終了前に、「FD活動とFDWGに対するアンケート(仮題)」をお願いする予定ですので、忌憚のないご意見をいただきたいと思います。

 また、後期には授業公開を計画しております。課題となっている開催日程を工夫し、多くの方が参加できるように計画を立てたいと考えます。アンケートには授業公開の日程に関する項目も用意させていただきますので、多くの妙案、アイデアが寄せられることを期待しております。

(M)

FD WG 宮澤正明 広瀬信雄 石垣武久 大友敏明 菅沼研一 田中武夫