FD最初の一年 …一委員としての感想…

石垣 武久

 FDワーキングは初年度の活動として、初任者懇談会と4回の授業公開を行なった。広報誌もこの号で4号になる。授業を公開してくれた人は熱心だし、参加した人からは好評をいただいている。今後の授業公開を快諾してくれている人も既に数人いる。こういうと、ワーキングとして活発に活動していると見えるかもしれない。しかし一方で、授業公開の参加者はワーキング委員を除くと初回から11人、5人、2人という状態で、1月に入って行われた第4回は野外で行われたということもあってか参加者はゼロだった。私自身ワーキングの委員だから参加しているものの、委員でなかったらFDに関心はあっても研修会に参加することはなかったかもしれない。しかし、義務的にでも参加してみると得られることはある。専門分野の全く異なった講義というのも聞いてみると面白い。FDなどと言う以前に、内容そのものを楽しんでしまったりする。研修会というと堅苦しい印象があり、委員以外の参加者が少ないためか、授業公開はワーキング委員による講義のチェックではないかという風評も耳にした。気楽に授業を見学しあったり、互いに遠慮した褒めあいではない率直な意見の交換をしたりできる雰囲気が作れないだろうかと感じている。

 程度の差はあれ、講義を良いものにしたいと思わない人はいないだろう。ひょっとして学部としてのFD活動など必要ないという意見があればそれも含めて、FDワーキングとしての活動内容への提案や、あの先生の授業を見学してみたいといった要望など、FDに対する意見を寄せていただければと思う。


 FDワーキンググループ主催の第4回授業研修会が1月20日(月)時限(10:30〜12:00)に開催された。尾藤章雄先生の「人文地理学概論」で、野外に出ての講義を公開していただいた。受講生十数名に混じって教官4名が参加し、人文地理学の視点で景観を眺めながら、護国神社前から山梨大学芙蓉寮の東までの600mあまりを歩いた。数ヶ所のポイントでは立ち止まって、尾藤先生の解説に耳を傾けた。

 午後のティータイムに、尾藤先生と参加者とで、ささやかなミーティングが行われた。

(I)



「人文地理学概論」の授業公開を終えて

尾藤 章雄

 1月20日(月)に人文地理学概論の野外での講義を公開し、先生方に見学して頂く機会を得た。この講義は教育人間科学部学校教育課程・教科教育コース社会科教育専修の学生を主体に、社会科の免許取得に必修の単位となっており、1年生を中心とした20名前後が履修する。内容は系統地理学の視点に基づく地域分析の基本的な手法、明らかになっている知見などを、都市地理学の分野から紹介するものである。

 いつもは情報処理センターにおいて端末から必要な情報を得ながら教科書を読み進める講義形式をとるが、2回ほど野外見学の時間を設け、この市街化の進む郊外地域の見学(法律の規制と土地利用)の他に中心商店街の見学(テーマは地代と土地利用)を行い、学生達が地域への興味関心を持つようにしている。

 野外見学では、都市郊外の土地利用と深く関わる3つの法律(都市計画法、建築基準法、農地法)の規制が作り出す典型的な景観を、甲府市北部の岩窪集落周辺を歩くことにより説明した。大学から離れた場所で、講義時間は実質的には1時間少々しか確保できず、地図を確認させて移動して歩くのであるから時間的な制約は大きい。持ち前の早口と数枚のフリップを提示することで補うのだが、寒くて歩くのが精一杯の学生相手では、ついつい“一方通行”の演説になる。話術と声量には幾分の自信があっても、講義室とは違って学生とのやりとりにつながらない点は野外見学の弱点と認識している。

 この点について見学して頂いた先生方からは、学生達に都市住民、農家という役割を与えて景観を説明させたり、写真やビデオなどを併用して意見を述べさせるなどの方法はどうかなど今後につながる有益なご意見を頂いた。早速次年度には試みてみたいと思う。

 昨年5月の都留高校への第1回出前講義も良い経験になったが、このたびの公開も適度の緊張感と共に講義内容を見直す格好の機会になったと感じている。

FD授業研修に参加して

田中 武夫

 尾藤章雄先生の授業「人文地理学概論」に参加した。今回の授業は、護国神社に受講者全員が集合し、岩窪町周辺を学生と一緒に歩いて、その土地利用に関する講義を聞くという形の授業である。

 まず、先生から学生にその地区の地図が配られ、その地図を見ながら都市化に関する先生の解説が始まった。それが終わると、先生を先頭にその後を歩いてついて行き、先生が立ち止まったところで、古い農地が都市化していく進行過程を、実際の農地や住宅地を目の前にして先生の話を聞いた。1時間程度の散策である。

 日頃、私たちがいつも通っている地域を教材に、農地法と建築基準法といった法律が都市化の進行過程に大きく関わっていることを分かりやすく解説する授業内容だった。

 今回の授業に参加してみて思ったことは、なりよりもまず、教室の中に留まらず、地域を実際に自分の足で歩いてみることが新鮮だった。しかも、今日の授業のトピックである、「都市化」の進行過程が特徴的に表れている箇所を身近な地域からうまく選び、それを簡潔に分かりやすく説明されていた点である。これは、前もって周到に調査・準備していなければできない。教科書や教室での授業とは学生の理解の深まりも違ってくるにちがいないと思った。

 また、私たちに身近な題材を使った指導は大変わかりやすいということである。私たちの身近にあるものや地域がいかに優れた教材であるかを再発見した。授業中には、古めの地図を学生にコピーし持たせ、昔の山梨大学周辺の様子をイメージさせたり、現在との建物や用地の違いを確認させたりする点なども参考になる。

 この授業の最初に尾藤先生が言った、「私たちの目には見えにくい地理に関する規制や法律などを目に見える形で理解していく」という言葉の意味が、学生たちと一緒に散策してみる中でよく理解できた授業であった。新しい授業のあり方の一つとして、私自身の授業の参考にしていきたいと思う。授業を見せていただいた尾藤先生に感謝したい。




人文地理学概論(1月20日)の感想

E0220007 障害児教育一年 佐野 友俊

 今日の講義は、3回目の屋外での講義だったが、地理学の専門知識を活字による説明だけでなく、直にその知識を感じられる現場で行ったことにより、学びやすく、効果的に学習ができたと思う。これは、これまでの屋外での講義における共通の認識だった。

 今日の授業は都市化の話であったが、恥ずかしい話だが、都市はある程度の計画はあるが自然の成り行きの中で成立していくものだと認識していた。しかし、都市化には、都市計画法、農地法、さらには建築基準法等といった法の下で進められていることを知った。通常の講義室での講義では、「そうか」で終わるのだが、今日は、甲府市岩窪の都市計画区域を歩き、その事例(例えば、低層住宅地になっているため四階以上の家屋はない、または、道路とするためには4m以上の幅員が必要であり、農地を住宅地にするためには道路が必要のために道を増設、拡張しなければならないといった状況等)を見ることにより知識を深められた。

 毎回の講義では、専門知識を習得するために具体的な事例などを挙げて説明を受け、また、講義にパソコンを取り入れていて、必要な情報を、講義内に活用しやすく理解しやすく学んでいる。定期的に今回のような屋外での講義があり、習得した知識を確認し、深めることができ、有意義な講義だと思う。

尾藤章雄先生の「人文地理学概論」に参加して

 20日時限、尾藤章雄先生の授業に参加させていただいた。野外授業は木枯らし吹きすさぶ中と覚悟し、防寒だけでも充分にと考えていたが、当日は緩やかな日射しのなか、受講生と参加者との散策は気持ちの晴れ晴れするひとときであった。集合地の護国神社境内前で今日のテーマである市街化調整区域についての概要説明を受け、神社正面の水路沿いの道を下って行った。間もなく、白壁の門構えの昔庄屋であったお宅の前で先生は我々の足を止めた。高台の水利権を持つ家と耕作者の家の立地に付いての説明があった。現在の住宅が林立する景色から、水と地形との関係から生じる人の営みの風景が、愛宕山を背景に棚田のように南東へと広がるアオアオした田圃と点在する家々とがはっきりイメージできた事はそれだけで私には満足いく体験であった。

 さらに私達は住宅地の路地伝いに引率され下って行った。あぜ道沿いの畑の前では現在も畑であり続ける訳を、廃墟と化した住宅の前では居住を諦め何故改築出来ないままでいるのか、駐車場の区画の隅にある家庭菜園の意味、更に、農地であった土地がアパートの敷地に変化する理由など、先生の明瞭な語りで説明を受けることができた。説明により土地利用には農地法、建築基準法、税制など普段私は目にはしないが法律が大きくかかわっている事が分かり、私たちの身近な風景もその事が大きく影響し形成されている現実を目の当たりにする事となった。その場に応じた解説をまとめたフリップの使用は尚理解を容易にしてくれた。

 大学の近くにこれ程、歴史、法律に絡む象徴的な場所があるものなのか、そしてその場所を先生は効率良く案内し適切な解説をされることに驚いた。周到に下準備がなされていることを想像せずにはいられなかった。授業時間は集合地、解散地との移動時間を引くと実質には短いものであったが、時の経過も忘れ、これ迄気が付かなかった豊かで立体的な風景を眼の辺りにする事ができた貴重な体験のトリップ、授業であった。

(S)



授業公開後のミーティングから

 尾藤先生から次のような問題提起があった。(1)フィールドで見られる事例が,教えたい概念(や理論)の必ずしも典型例ではなくても結びつけ説明する強引さ(不正確さ)をどう考えるか。 (2)学生たちからの発言や質問が少ない理由をどう考えたらよいか。

 前者については入門期大学生にはむしろ細部の例外・変則や複雑なヴァリエーションを最初から教えるより,理論と実際を結びつける機会として重要であることが話題となった。また後者の問題については,ていねいでわかりやすい説明が,逆に学生からの「疑問」より「納得」を呼ぶのであり,決して「無関心」のあらわれではないことが指摘された。

 それにしても,地理学が身近な家並や土地に生きていることに気づかされ,触発されることの多いフィールド授業であった。ありふれた光景の中の「生きている地理学」に学生をあたたかく誘っている先生の歯切れのよい説明が印象的であった。

(H)




2002年度  FDメモリー

2002/05/29(水) 初任者懇談会
2002/07/05(金) 授業研修会 第1回、『国語表現』(宮澤正明教官)
2002/07/12(金) FD INVITATION 創刊号 発行
2002/10/22(火) 授業研修会 第2回、『現代教職論』(高橋英児教官)
2002/11/15(金) FD INVITATION 第2号 発行
2002/12/04(水) 授業研修会 第3回、『英語C』(田中武夫教官)
2003/01/15(水) FD INVITATION 第3号 発行
2003/01/20(月) 授業研修会 第4回、『人文地理学概論』(尾藤章雄教官)
2003/02/05(水) FD INVITATION 第4号 発行



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